若い人の成長スピードには目を見張るものがあります。
多くの大学生、また新入社員と接してきて思います。若いっていいな。
もちろん成長のスピードは人それぞれ。スタートダッシュが得意な人も入れば、後半の追い上に長けている人もいます。どちらが素晴らしいという物ではありません。人生は超・長距離走なのでマイペースが一番です。
New Meでは以前「成長する大学生に共通する態度」についての記事を掲載しました。
おかげさまで、大学生を始め、に多くの方に読んでもらえた記事です。みなさん「成長」に関心を持っているということでしょうか。それだけでも素晴らしい。
より成長できる人を目指すなら、「ではない人」にも注目する必要があります。
残念ながら、成長機会を逃してしまう大学生にも共通した思考習慣があります。
なかなか成長しない人がもつ悪習慣
他責が多い
何事も他責にすれば、その時は楽になる。
しかし、そこで成長は止まる。
何か挫折があるたびに自責で考えると、人は成長する。『日本経済新聞「プロムナード」』2014.10.2
他責思考とは、自分の行動の結果を人やものなど、自分以外のせいにして考えてしまうことです。
例えば、あなたがカレー屋さんを始めます。ところが、お客さんがなかなか来てくれない。
「今日は天気が悪いから…」
「この店は立地が悪い」
「近くのカフェにお客さんを取られている」
「この辺りのお客さんは、カレーの良さがわかってない」
挙げ句の果てには、
「みんな、オープン前には『絶対成功するよ!』って言ってくれていたのに!」
このように「自分以外のこと」を理由に考えてしまうのが他責思考です。
一方の、「自責思考」とは。
自責思考は勘違いされやすいですが「自分を責めること」ではありません。
「私にはカレー屋なんて無理だったんだ」
「私の料理才能がないんだ」
確かに、辞書には「自分のあやまちを責めること」とあります。しかし仕事において、こんな風に考えるのは自責思考ではありません。
仕事に自責思考とは、〈課題や問題において、自分の行動で変えられる点に焦点を当てること〉です。
「お店を知ってもらう努力が足りなかったかも」
→SNSをやってみよう。チラシを作って近所に配ろう。
「料理で満足させられてないのかも」
→料理の腕をもっと磨こう。メニューを改善してみよう。
「価格の設定を誤ったかも」
→お得なランチメニューを作ってみよう。周りのお店の価格帯を調査してみよう。
〈自分の行動で変えられる点に焦点を当てる〉ことで、改善すべき具体的な行動が見えてくる。だから正しい自責性を持っている人は成長できるのです。
他責で考えるとは、改善したり成長するチャンスを自ら逃していると言えるのです。
振り返りが雑
確実に成長していく人は、できごとから「教訓」を得るのが上手です。
一方、何かをプロジェクトを終えたとき、「成功しました!」「ダメでした」などと状態を簡潔にしか言わない人、「うれしい」「ショック」と感想しか言わない人がいます。
成長できない人は振り返り・反省が雑なのです。
雑な振り返りでは、よかった点を次に生かすことができません。あるいは同じ失敗をしてしまうかもしれません。
丁寧に振り返るには、以下のようなステップで考えることができます。
- 出来事を起こった順に書き出していく
- 成功した原因、失敗した原因だと思えることを、考えられるだけ書き出す
- 2で書き出した原因を、〈自分の行動〉と結びつけて考える。
(例、今回イベントが失敗した理由は集客が足りなかった。自分の行動として、SNSで告知したり友人を誘うという行動が足りなかった、など) - もう一度やるとしたらどうするか、言葉にしてみる
(参考:『管理職1年目の教科書』櫻田毅/著)
経験が成長につながるのは、そこから「学び」を得ることができるからです。経験から学ばなければ、それは単なる「思い出」です。
自分のアタマで考えることを避ける
「どうすればいいですか」
こんな質問ばかりをしていないでしょうか。
思考力も、筋力と同じでトレーニングしなければ成長しません。つまり、動かし、練習することです。
「どうすればいいか?」という質問は、自分で考えることを避け、指示を仰いだり、他人の考えを求めています。
自分はこうしようと思う。こういう方法がると思う。
誰かに聞く前にまず考えてみましょう、
〈よい話を聞いた〉とか〈いい本を読んだ〉だけで、成長した気になってしまう人がいます。しかし、それは筋トレでいいうならよいサプリメントを飲んだようなもの。
本当に成長するためには〈自分自身を〉トレーニングする必要があります。
「つまり、こう言い換えることができるだろうか?」
「例えば、こんなことも当てはまるだろうか?」
「自分の行動に活かすなら、どんな点があるだろうか」
など、〈自分なりの解釈〉を持つようにしたいですね。
〈疑問をもたない〉これもいわゆる「思考停止」の状態です。
こんなことはないでしょうか。
- 偉い人、有名な人の言うことを鵜呑みにする
- 「今までこの方法でやってきたから」を理由にする
- 「みんながやってるから」を理由にする
これ以外にも、実は「常識」だと思い込んでいることがたくさんあるのです。「常識だから」と疑うことをしなければ、考える機会、成長する機会が減ってしまうのです。
数字を避ける
成長機会を逃す人の共通点に、物事を具体的に捉えられていない点があります。その一つが〈数字を避けた表現〉です。
「できるだけ早くやります」
「目標までちょっと足りません」
「今日はけっこう頑張りました
こうした発言が多い人は成長機会を逃しているかもしれません。
最適な目標の立て方に「SMARTの法則」と呼ばれるものがあります。下のそれぞれの頭文字をとったものです。これらの要素を満たしていることが、よい目標だとされています。
- Specific:具体的、分かりやす内容である
- Measurable:計測可能、数字になっている
- Achievable:希望や願望ではなく、達成可能な現実的内容
- Relevant:目標が、本来の目的にとって意味のあるものであること
- Time-bound:期限が設けられている
よい目標の条件の1つが〈数字で表すこと〉です。
そして、目標を数字で語るなら、結果も数字で語ることになります。当然、その過程である行動も数字で語ることになるのです。
数字を避けるとは、正確さを避けること。現状や目標、そして自分の行動をあいまいにしたままでは、成長できるとは言いがたいでしょう。
自分の可能性に目を向けられていない
スタンフォード大学の心理学教授、キャロル・ドウェック氏によると、成長する人には共通したマインドがあります。「成長型マインドセット(しなやかマインドセット)」と呼びます。
一方、なかなか成長できない人にも共通したマインドがあります。これを「固定型マインド」と呼びます。
なかなか成長できない「固定型マインド」の人
- 知性と才能は変えることができないと考えている
- 挑戦を避け、簡単にあきらめる
- 余分な努力は無意味であると考える
- 他人からのフィードバックを受け入れない
成長できる「成長型マインド」の人
- 知性は開発できると信じている
- 課題に直面しても学習機会と捉える
- 粘り強く努力する
- 他人の意見を素直に聞く
い換えれば、成長型マインドを持つ人は、自分にある可能を信じています。
今の自分が未熟であったり、能力が低くても、「自分はダメだ」と思うのではなく「今はまだだけど、これから成長できる」と考えることが重要です。
これからどんどん成長できる!
当てはまることが多くて、ショックを受けている人もいるでしょうか?
でも、落ち込む必要はありません。成長とは〈これから〉のことです。
- 問題が起きたら、人のせいにしたり、自分ではコントロールできなことを言い訳にしたりしない。自分の行動との関わりを考えてみよう。
- よかったことも、悪かったことも〈感想〉だけでなく「どんな理由があるか。自分の行動はどうだったか。同じことをするならどうするか」を考えよう
- 自分の頭で考えよう。いろんなことに「なぜ?」「本当に?_」と疑問を向けてみよう
- いつまで、どのくらいなどは具体的な数字で表現しよう
- これからまだまだ自分は成長できる、自分の可能性を信じよう
ちょっとした考え方を変えるだけで行動は変わります。全てがすぐに変わらなくてもよいのです。
小さな変化を重ねる、それこそが成長なのです。
あなたの能力は、今日のあなたの行動によって、開花されるのを待っています。
手紙屋〜僕の就活を変えた中の手紙(喜多川泰)
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「成長型マインドセット」で紹介したキャロル・ドウェック氏の著書です。本書では「しなやかマインド」という単語で、成長に必要なマインドを開設しています。
キャロル氏や本記事とは別のアプローチで成長に必要なマインドについて記されています。「成長とは何か」を学びながら読み進めることができます。
タイトルの通り、自分のアタマで考えることを教えてくれる本です。2011年の本なので事例が古いこともありますが、それでも読む価値があります。若いうちに読んでおきたい1冊です。