考えが〈浅い〉人と〈深い〉人の違い。クリティカルな思考とは。

    スキルを磨く

    「あの人は考えが浅い

    「もっと深く考えてみて」

    このようなセリフを耳にしたことがあると思います。

    みなさんが社会に出て、仕事や日常生活の中で取り組むことになる課題や問題には〈正解がない〉という状態も少なくありません。

    答えがないだけではありません。

    「今解決すべき本当の問題はなんだろう?」

    「より良くするために何を改善すべきだろう?」

    自分で課題・問題を見つける力も必要となるのです。現状を見て、そこに適切な課題を見つけていくには〈深く考える〉ということが求められます。

    あなたは「考えの浅い」「考えの深い」どちらのタイプでしょう?

    「そんなこと考えたことがない、べつに考えもしょうがない」と思っている人は、もしかしたら前者なのかもしれません。

    また、自分では考えているつもりだけれど、なかなか上手くいかない、という人も、まだ〈深く考える〉ということが掴めていないのかもしれません。

    もちろん、初めから深い思考力を持ってる人ばかりではありません。

    考えが浅い・深いとはどういうことで、深く考えるためには何を意識すべきなのでしょうか。

    考えが〈浅い〉人がやりがちなこと

    名探偵コナンという漫画・アニメをご存知でしょうか?主人公のコナンくんが、人並外れた推理力で殺人事件などを解決していくお話です。

    さまざまな事件で、〈別の探偵や刑事が、間違った人を犯人扱いする〉というシチュエーションが見られます。例えば、「被害者と最後に一緒にいたから犯人だ」「被害者に恨みがあるから殺したんだろう」「アリバイがない」など。

    そうしたマヌケ役の刑事は、物事の一面だけを捉え分かった気になって、犯人を決めつけてしまいます。また「コイツが犯人だ」と思ってしまったら、その考えを疑うことをせず他の可能性を考えることをやめてしまいます。

    まさに「考えが浅い」タイプとして描かれているのです。

    現実の世界でも、考えの浅い人には共通した傾向があります。

    • 一度聞いた話は「それはもう知っているよ」と学びを深めようとしない

    • 「ずっとこの方法でやってきたら」と新しいことを取り入れようとしない

    • 「みんなが言っている」から流される。多数派の意見が正しいと思ってしまう

    • 「〇〇さんが言っていた、やっていた」など他人を尺度にしてしまう

    • やるべきことより、やりたいことを優先してしまう

    考えるとはめんどくさいものです。多数の意見に流されたり、物事の表面だけ捉えて考えることをやめてしまう方が楽でしょう。

    しかし前述した通り、私たちは仕事だけでなく人生でも「答えのない問い」と向き合っていかなければなりません。人生をよりよいものにするなら、「考えを深めるスキル」を身につけたいものです。

    考えを深める、クリティカルな思考

    考えを深めていくには「クリティカルな思考」が重要となります。

    クリティカルシンキング(Critical Thinking)はそのまま「批判的思考」と訳されます。この「批判的」という言葉のニュアンスから「なんでもケチをつける、粗探しするような考え方なのか?」と勘違いしてしまう人もいます。

    しかし、実際はそんな〈イヤな人〉のような考え方ではありません。

    クリティカルな思考とは、与えられた状況を鵜呑みにせず「本当にそうなのか?」と確認することです。

    「これは自分の思い込みではないか?」「この情報を重要視するべきなのか?」「物事を一面で捉えていないか?」このように自分に問い続けることです。

    コナンくんになるか、脇役のマヌケな刑事さんになるか、その分かれ道はクリティカルな思考にあるのかもしれません。

    身につけておきたいクリティカル思考の基本姿勢

    ではクリティカルな思考はどのようにして身につけていけばよいのでしょうか。

    大嶋祥誉著『マッキンゼー流入社一年目ロジカルシンキングの教科書』では「クリティカルな思考の3つの基本姿勢」として次の3点が挙げられています。

    常に「本当の」目的を意識する

    自分がやろうとしていること、考えようとしていることが、そもそも何のためなのか、目的を明確する必要があります。

    目的をはっきり決めないまま思考や議論を始めると、別の問題に気を取られてしまい、小手先の解決策へ走ってしまう恐れがあるからです。

    「目的を見失うことなんてあるの?」

    これが、日常でも仕事ても意外とあるのです。大嶋氏の著書の中では宅配ピザチェーン店の事例が紹介されています。

    ある宅配ピザ店では、「アツアツ焼きたてを30分以内にお届け」を売り文句にしていました。しかし注文が立て込むと30分以上かかってしまいクレームになっていました。

    そこでピザの作り置きを増やしたり、30分を過ぎてしまった場合、クーポン券を配布したりしましたが、クレームは減りません。クレーム対応が嫌になりアルバイトがやめてしまうような状況にまでなってしまいました。

    この店の行った「ピザの作り置き」や「クーポンの配布」の目的はなんでしょうか。そう〈クレームを減らすこと〉です。しかしそれはお店そもそもの目的と言えるでしょうか。

    本来、注文客が望んでいるのは「所要時間の短縮」ではなく「アツアツのおいしいピザを家で手軽に食べたい」ということ。
    だとすれば、宅配ピザチェーン側の目的は「アツアツのおいしいピザをできるだけ早くお届けする」ことですよね。そのために所要時間が多少長くなったとしても、30分で少し冷めたピザが届くより、10分で「アツアツのおいしいピザ」が届くほうが注文客の満足度は高いはずです。
    実際、30分という縛りをなくし、10分前後でお届けするというオペレーションに変更するとクレームはほとんどなくなりました。
    つまり、30分以内にお届けするということを目的にするのをやめて、本来の目的に立ち返ったことでクレームの発生要因そのものをなくすことができたわけです


    『マッキンゼー流入社一年目ロジカルシンキングの教科書』大嶋祥誉

    他にも、

    • お客さんの回転数を上げるために接客が雑になってしまう居酒屋
    • 営業ばかりに力を入れ、購入後の顧客サポートが疎かになり信用を下げてしまうメーカー
    • 集客のために値下げを行った結果、メニューの味まで落ちてしまうレストラン

    など、「本来の目的を見失った施策を打ってしまう」という誤りはビジネスにおいてもよくみられるのです。

    思考パターンの「枠」や「癖」を意識する

    私たちの思考にはたくさんの「枠」を持っています。普段の何気ない行動ならその枠にそって考えるほうが楽だからです。

    例えば「マナー」という枠があります。人と接する度に「この人に失礼にならず、気持ちよく過ごしてもらうには、何をすべきか、すべきでないか」を毎度毎度考えるより、マナーという枠で考えた方が楽だからです。

    思考の枠には実にさまざまものがあります。常識文化もそうですし、自分の過去の経験なども思考の枠を作っています。1度だけでも成功体験があると、同じ方法を繰り返したくなりますし、たった1回でも失敗すると、その方法は避けたくなります。

    思考の枠に囚われていると、新しい発想ができなくなります。また思い込みに囚われたり、客観的な判断ができなくなってしまうこともあります。

    「自分の今の思考は、何かの枠にはめて考えていないか」そう意識することが重要です。

    また、思考には枠だけではなく、性格や価値観を反省させた「癖」のようなものもあります。

    「行動することを重要視しすぎて、計画や振り返りを軽視する」

    「『努力』が好きなので『効率化』が後回しになってしまう」

    「クオリティが高ければ締切に少しくらい遅れてもいいという思いがある」

    こうした癖も、客観的な判断を曇らせてしまい、思考を深める阻害要員となってしまいます。

    問い続ける

    表面的な思考だけで終わらせず、深めていくためには、問いを投げかけ続けることが重要です。

    自分自身に起きていること、考えるべきさまざな事実について「だよねー」と相槌を打っているだけでは、思考は深まりません。

    「TOEICの点数を上げたい」(だよねー)

    「コロナでオンライン就活が盛んになった」(だよねー)

    「自分のキャリアが思い描けない」(だよねー)

    自分の中で「だよねー」と相槌を打つのではなく、「だから何?つまりどいういうこと?」「それはなぜ?」という問いを投げかけてみましょう。

    例:「TOEICの点数を上げたい」(それはなぜ?)

    ▶︎「海外留学に行きたいから」(だから何?)

    ▶︎「日常会話ができるようにならないと」(それはなぜ?)

    ▶︎「リスニングは得意だけど、話すことが苦手。文法も怪しい」(だから何?)

    ▶︎「まずは単語の語彙力を増やす。英語で話すような機会をさがしてみよう」

    このように自分に起きていること、表面的に見えている事実を「だから何?」「それはなぜ?」と問い続けることで掘り下げて考えることができます

    ものごとを構造化して捉えることで、「何が本当の問題なのか」を掴み取ることができるようになります。

    読書を通じてクリティカルシンキングを身につけよう

    クリティカルな思考について学ぶためには、書籍を読むことも有効です。

    『クリティカル思考の基本姿勢』で参考にした本です。「入社一年目の」とある通り大学生でもわかりやすい内容となっています。同じシリーズの「問題解決の教科書」もおすすめです。

    心理学や教育学を専攻する人がメインターゲットですが、他の分野を学人にも有益な内容となっています。アカデミックスキルとクリティカルシンキングを同時に学べる一冊です。各章には練習問題・振り返り問題があり、より実践的に生部ます。

    問題を正しく捉え、どのように考えていくべきか心理学と絡めながら述べられています。クリティカルシンキングおという分野を体系的に学べる一冊です。

    クリティカル・シンキング」を図解でわかりやすく解説した入門書です。問題解決への全体設計に重きを置いていて、思考法からツールの使い方、活用する手法までを図表を使いながらわかりやすく解説しています。

    思考を身につけるとは、思考を習慣化するということ

    クリティカルな思考とは、課題をさまざまな視点から見つめて、客観的に考えを深めていく思考です。

    そのためには目的を意識し、自分の思考の枠を知り、常に問い続けることが重要です。

    本記事や読書を通して考え方のコツを知ることと、実際にできるようになるのは全く別のことです。「身につける」ということはクリティカルな考え方が習慣になること。習慣化するには練習しかありません。

    日常の中で見聞きすること、自分の状況など全てがクリティカルな思考の練習台になります。視点を変える、疑問を持つ、そうした小さなことから深く考える練習を重ねていきましょう。

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