幸運は待っていれば向こうからやってきてくれるほど都合のよいものではありません。
自ら望み、準備し、行動することによって獲得するものです。
ジョセフ・マーフィー(思想家)
誰だって幸せになりたい。
「あーあ、空から1億円降ってこなかなぁ」
「ある日朝起きたら、誰もが羨む美形になっていないかなぁ」
時にはこんな妄想をすることだってあるでしょう。私もあります。でも、流石に現実的じゃない。自分で幸せに向かって行動するしかないのです。
しあわせは 歩いてこない
だから歩いてゆくんだね
『365歩のマーチ』作詞:星野哲郎
どこにあるかわからない「幸せ」や「夢」という目的地。しかもその場所は人それぞれ。
わたしたちは自分で目的地を示し、自分の気持ちを鼓舞しながら、さまざまな困難を乗り越えていかなければいけません。
それはまるでチームにおけるリーダーのような役割です。
リーダーやリーダーシップについて話すと、「私はそんなタイプじゃない」とおっしゃる方がいます。
グループでなにかを行う時、中心になってみんなを先導することが多いタイプの人もいます。
逆に、人の前に出ることが苦手な人。
それはいいのです。
では、そんな人たちには「リーダーシップ」は不要なのでしょうか。
リーダーとはそもそも何でしょう。
リードする人です。つまり「定めた目的に到達するため、周囲を導く人」です。
目的に到達するためには、何を目指すべきか、何をするのが正しいのかを〈示す〉必要があります。つまり「正しいことをする人」といえます。
そうした意味で、リーダーはコンパスに例えられることもあります。

コンパスはどこにいても北を正しく示す
正しいことをするためには、自分の心で感じることをしなさい。いずれにせよ批判されるのですから。
エレノア・ルーズベルト(第32代米国大統領夫人)
「リーダー」とよく比較して語られるのは「マネージャー」という存在です。
「マネージ」する人です。managには「管理する」や「うまく〜する」という意味もあります。
マネージャーとは、何が正しいのかという示しを受けて、それをうまく行うための人です。つまり、「正しく行う人」であるといます。
リーダーが目的地を指し示すコンパスなら、マネージャーはそこまでどどれくらいの距離があり、どれくらい時間がかかるのかを把握する。そういった意味で時計やメジャーに例えられます。
チームや組織で何かを行う場合、リーダー、マネージャーどちらも必要です。
2つのポジション・役職が必要というわけではありません。一人が兼任することもあります。
役職としては存在しないというケースもあります。しかし、誰かがその役割を担っている。リーダーやマネージャーは役職ではなく「機能」そして「人格」なのです。
みなさんがよく誤解していることがあります。
「リーダーをする人にはリーダーシップが必要。私ははメンバーの一員なので必要ない」
「僕はリーダーという役割をやってきたのでリーダーシップがある。」
本当にそうでしょうか?
「リーダー」+「シップ」
この「ship」とは「〜である状態」「〜技量」などという意味があります。( Weblio和英辞典より)
つまり、
「リーダーシップとは正しいことをしている状態」
「リーダーシップとは正しいことを行う力(技量)」
と考えることができます。
こうした状態や力は、チームの中でリーダー的な役職の人だけに必要でしょうか?
一人だけが正しいことをしているチーム、みんなが正しいことをしているチーム、どちらが成果を出しやすいでようか。深く考えなくても想像はつきますね。
つまり「リーダーシップ」とは、リーダー的な役職についている人だけに求められる素養ではない、ということです。
また、〈リーダー的な役職に就いた経験〉だけでは、その人にリーダーシップがあるとは言い切れません。「正しい行いをしてきたか」という行動がリーダーシップだからです。
「リーダーシップ」について一般的な定義を見てみましょう。
グロービス経営大学院のサイトでは以下の解説がなされています。
リーダーシップとは、自己の理念や価値観に基づいて、魅力ある目標を設定し、またその実現体制を構築し、人々の意欲を高め成長させながら、課題や障害を解決する行動。
リーダーシップの定義は多様にわたり、その研究の歴史も古い。代表的なものには「オハイオ州立大学研究モデル」「ミシガン大学研究モデル」「条件適合理論」「PM理論」「X理論・Y理論」などがある。
前半部分を簡単にまとめると、リーダーシップとは
- 理念に基づき行動する
- 自分で目標を設定する
- 実現のための方法や体制を考える
- 人の意欲を高める
- 課題や障害を乗り越えていく
こうした一連の〈行動〉であるとのことです。
どれをみても、人の上に立つ・立たないに関係なく望ましい行動ではないでしょうか?
「リーダーにならないから、リーダーシップは必要ない」そんなことはないのです。
社会に出ると、仕事の多くはチームで行います。上司という存在もできます。特に入社してからの数年は言われたことを守り、指示を忠実に実行することが重要視されがちです。
「やっぱりリーダーシップなんていらないじゃん」
本当にそうでしょうか。
指示を守ること、それは「言われたことだけしかやらない」という意味ではありません。どんな立場であれ、自分で考えて行動していかなければなりません。
会社は「指示待ち人間」を求めているわけではないのです。
会社や上司の指示のもと、自分自身の課題の中で「小さなリーダシップ」を発揮してく必要があるのです。
人生は決断の連続です。
心許せる親友がいる、頼りになる先輩がいる。真剣に、親身に相談に乗ってもらったとしても、最終的に決めるのは「自分」です。
成長とは、自分の足で歩むことです。
誰かに教えてもらうことでも、自分が意欲を持ち、学び続ける姿勢があるからこそ成長します。「自分」次第なのです。
ただ傍観して、不平を言っていてはいけません。
あなた方は「誰か」が行動を起こすのを待っているのでしょうか。
行動を起こさなければならないのは、まさに、あなた方自身なのです。
ワンガリ・マータイ
自分の人生を歩むために、自分自身のリーダーになりましょう。
自分自身の行動にリーダーシップを発揮しましょう。
- 自分の理念に基づき行動していますか
ーゆっくり探そう。自分なりの「価値観」
- 自分で目標を設定していますか
ー与えられた目標でなく、自分で目標を設定する癖を身につけよう
- 実現のための方法を自分の頭で考えていますか
ー相談が悪いわけではない。でも自分で考え、決断することから逃げちゃいけない
- 自分の意欲を自分で高めていますか
ー目に見えない「モチベーション」に振り回されすぎていないだろうか。そして、〈自分の機嫌は自分で撮る〉
- 自分の力で課題や障害を乗り越えようとしていますか
ー大きなことを成す必要はない。初めは小さな課題をクリアして行く。そうすると自分で登れる山がどんどん高くなる
生まれながらのリーダーはいない。
リーダーは作られる。
そして、リーダーは他のものと同様、努力によって作られる。
それがすべてのゴールを達成するために払わなくてはならない対価である。
ヴィンス・ロンバルディ(アメリカンフットボールコーチ)
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