世界はあなたによって歪められている?自分の中の「認知バイアス」を知ろう

    自分を見つめる

    常識とは人が18歳になるまでに集めた偏見のコレクションである。

    そう言ったのはアインシュタインです。

    わたしたちが〈当たり前〉と思っているもの、それは偏見や思い込みかもしれません。

    ある日のカフェで

    わたしの隣の席では大学生ぐらいの男女二人が仲良さそうにおしゃべりをしていました。話が盛り上がり過ぎたのでしょう。身振りの大きくなった女性の手が、水のグラスにあたり倒れてしまいました。

    もう一人の男性が、笑いながら声をかけます。

    君は相変わらず注意力散漫だなぁ。グラス倒すくらいならいいけど事故とか気をつけなよ」

    ところが、その15分後、こんどはその男性がグラスを倒してしまうのです。最初にグラスを倒した女性も、ここぞとばかりに冗談ぽく言いました。

    「あなたも注意力が足りないぞ〜」と。

    言われた男性はこれに反論します。

    「僕の場合は違うよ。さっき持ってきたウエイターが置いた場所が悪いんだ」

    彼は決して言い訳ではなく、本心でそう思ってるようでした。

    何かミスをした時、他人のときは「その人に原因がある」と感じ、自分のときは「外的要因がある」と感じる。

    これは客観的であるといえるでしょうか?

    みんな自分の〈色眼鏡〉をかけている

    わたしたちは自分の価値観、信念といった〈色眼鏡〉を通して世界を見ています。が、自分が色眼鏡をかけているという自覚はありません。

    「わたしは客観的に物事を判断している」

    そう思っていも、そこには無意識の〈思い込み〉が働いているのです.。

    ものごとを判断したり、解釈したりすることを心理学では『認知』と言います。

    『認知バイアス』とは、〈認知がゆがむこと〉。つまり偏った考え方のことです。

    世の中にはたくさんの認知バイアスが存在しています。

    個人に関わるもの、集団に関わるもの。事実の判断に関わるもの、感情的なもの、など。

    日常生活で関わりやすい認知バイアスを紹介します。

    「わたしにとって都合のいい世界」に変換されている

    認知バイアスの中には、自分にとって都合のいいように物事の捉え方を歪めてしまうものがあります。

    ミスはわたしのせいじゃない:自己奉仕バイアス

    冒頭のカフェでのエピソードに戻ります。

    他人のミスは「その人自体に原因がある」と感じ、自分のミスは「自分以外の人、環境などに原因がある」と感じる。これを『自己奉仕バイアス』といいます。

    いわるゆ〈自分のミスを棚に上げる〉〈責任転嫁〉というやつですね。

    責任転嫁は反省の機会、成長のきっかけを自分で奪っているようなもの。

    そもそも、社会に出てそんな人と一緒に仕事がしたいと思わないですよね。自分のミスと向き合うのは苦しい作業ですが、このバイアスには囚われないようにしたいものです。

    自己奉仕バイアスは、ミスした時だけではありません。逆の場合の歪みも指します。

    何かがうまくいった時、自分の成功なら「わたしは頑張った!」「わたしの要領が良かった」と〈自分〉の功績と捉える。

    一方、他人の成功に関しては「運が良かったね!」「先輩が助けてくれて良かったね!」と、その人の行動や特性ではなく、他の要員が大きいと感じてしまいます。

    自分がかわいい。自分に甘い。そんな人が多いということですね。

    下手だけど、マシな方:ダニング=クルーガー効果

    〈過大評価〉も認知バイアスの一つです。

    私にはお菓子作りが好きな友人が二人います。が、一人は正直お世辞にも上手とは言えない。まだ初心者なのに自己流のアレンジが多過ぎたり、焼き加減が適当なんです。

    そんな彼女の自己評価は「初心者にしては上手い方でしょ?」

    わたしたちは心の中ではツッコみつつも、「次ははレシピに忠実なお菓子を作ってみたら?」とやんわり提案するのです。

    一方、もう一人の友人が作るお菓子は、お店に並べても遜色のないほどのクオリティなのです。ところが、彼女は「わたしなんてまだまだ、だよ」「もっとうまくなりたいから習いに行こうかな」と言います。

    能力が低い人ほど、自分を過大評価する傾向があります。逆に能力が高い人ほど、自分を過小評価しています
    これを「ダニング=クルーガー効果」と言います。

    勘違いしてはいけないのは、「自信」は成長には大事な要素だということです。「自分はダメだ」と過剰に卑下する必要はありません。

    「この人、自分を過大評価してるな」と思う場面でも、本人の自信とやる気を削らないよう気をつけたいものです。

    やっぱり思った通り:確証バイアス

    友人に怒られたことがあります。

    彼女とはゴルフや旅行など共通の趣味があり、一緒に出かけることが多いのですが、なんだか雨の日が多いような気がして。だから彼女は『雨女』なんだろうと思っていたのです。

    ある雨の日、「やっぱり雨女だね」と言ってしまいました。

    「やっぱり、って何よ。あなた、雨の日しかその話題出さないじゃない。そもそも、一緒に出かけることが多いなら雨の日も多くなるでしょ。確率でいったら雨の日なんて半分もないでしょ!」

    そうなのです。彼女とは雨の日も多く一緒に過ごしましたが、それ以上に多くの晴れの日や曇りの日を一緒に過ごしていたのです。

    人は、何かしらの〈仮説〉や〈思い込み〉を持っています。

    そしてちょっと厄介なのが、この思い込みを補強したり正当化したりするような情報ばかり拾ってしまうのです。そして自分の思い込みと反する都合の悪い情報には蓋をしてしまうのです。この偏りを『確証バイアス』と言います。

    情報を分析しているようで、〈情報に操られている〉こともある

    わたしたちはさまざまな情報をもとに、正しい判断をしようと努力しています。しかし、その情報が、あらたな〈思い込み〉を招くこともあります。

    成功者のやり方は正しい:生存バイアス

    成功者について書かれた本は非常に人気がありますね。そういった本を読だり「自分はこんな方法で成功したんだ!」という話を聞くと、その人のやり方や考え方を真似したくなるものです。

    しかし、その裏では同じやり方をして失敗した人がどれほどいたか、まで考えが及ばないことがあります。

    このように、成功した人や現在生き残っている人だけの情報を取りれ、誤った思い込みをしてしまうことを生存バイアスと言います

    スティーブ・ジョブズ氏やビル・ゲイツ氏は大学を中退して実業家として成功しました。だからと言って、「成功を収める上で必ずしも大学を出る必要ない」と考えるのは極端です。

    一部の成功者だけを見てわかった気になり、大学を中退した後ビジネスが上手くいかなかった人を無視する生存バイアスだと言えます。

    最初の情報が印象に残って…:アンカリング効果

    テレビショッピングを見たことはありますか?

    多くは最初に定価を伝え、ここぞというところで割引価格を提示します。

    最初から割引後の価格を伝えるより、買う人多いように感じませんか?

    最初、または同時に提示された特定の特徴や、情報が印象に強く残ってしまい、意思決定や判断に影響をおよぼす傾向をアンカリング効果と呼びます

    広告・販売などでよく使われているので、消費者としては正しい対象で比較し判断したいですね。

    10万円のPCが5万円で売られていたら、絶対買うべき、というわけではないのです。他社商品と比較し、スペックを検討して決めたいものです。

    一部よけれ全部よし!?:ハロー効果

    インスタブラムやツイッターでは、インフルエンサーと呼ばれる方々がいます。

    彼ら彼女らが発言すると、本人の専門外の情報であっても、なんでも鵜呑みにする人が一定数います。なぜでしょうか。

    SNSでフォロワーが多いのはすごいことです。しかし、専門外の発言の信用性とは関連がありません。

    このようにその人のインパクトのある一面に引っ張らられるように、その人全体に偏った評価してしまうことを『ハロー効果』と呼びます

    ハロー効果は良い印象に偏る現象だけではありません。

    身なりの悪い人はそれだけで信用ならない、と感じてしまうように、ネガティブに偏ることもあります。

    認知バイアスを無くすことはできない

    わたしたちは、過去の経験をもとに仮説を立てたり、思考したりしています。ですから認知バイアスを完全になくす、というのは困難でしょう。

    しかし、認知バイアスを知っておけば、「これってもしかして?」と自分の中の思考の偏りに気づけることも増えるははずです。

    また認知バイアスを上手に利用することも可能です。

    例えば、最後に紹介した『ハロー効果』。

    • 笑顔で明るく挨拶ができ、姿勢がいいとそれだけで優秀な人だと思える

    これもハロー効果です。就職活動や仕事の場で活かすことができそうですよね。

    認知バイアスが全て悪い、というわけではありません。

    ですが、自分の視野を広げたり、自分自身と正しく向き合うには頭に入れておきたい概念です。

    [関連する本]

    認知バイアスについて、論理学・認知科学・社会心理学の3つの研究分野から、各々の専門家がアプローチしています。

    わかりやすい項目から徐々に理解を深められるように工夫されています。

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